ピアノの音律に用いられる12平均律とは?特徴と周波数比の計算

スポンサーリンク

 

今回は、ピアノなどに用いられる12平均律という音律について詳しく解説していこうと思います。

本記事の内容
  • 12平均律とは
  • 12平均律の周波数比
  • 特徴と12平均律を用いる楽器

「音律って何?」という方は、以下の記事を読んでみてください。

では早速見ていきましょう。

スポンサーリンク

平均律とは

今日において最も多く用いられているのが平均律です。

平均律とは、音程を等しい周波数比で分割した音律です。

平均律にはいくつかの種類がありますが、一般的には12平均律という音律のことを言います。

12平均律とは、1オクターブの音程を12等分した音律です。

ピアノの鍵盤を思い浮かべてみると、半音階、つまり白鍵も黒鍵も合わせると1オクターブの中には12個の鍵盤がありますね。

十二平均律の周波数比

どのように周波数を12等分するのかを見ていきましょう。

オクターブの周波数の比は1:2となります。

一部の周波数を抜粋して表を作りました。

音名国際式表記C4との音程C4に対する周波数比周波数(Hz)
C4完全1度1.0000261.626
 C#4短2度1.0595277.183
D4長2度1.1225293.665
 D#4短3度1.1892311.127
E4長3度1.2599329.628
ファF4完全4度1.3348349.228
 F#4増4度(減5度)1.4142369.994
G4完全5度1.4983391.995
 G#4短6度(増5度)1.5874415.305
A4長6度1.6818440.000
 A#4減7度1.7818466.164
B4長7度1.8877493.883
C5完全8度2.0000523.251

例えばこの表を見てみると、ドから1オクターブ上のドは261.6Hzから523.3Hzで2倍になっています。

そしてこの表にはありませんが、そのまたオクターブ上のドの音は1046.502Hzで3倍になります。

このように、オクターブ上がるにつれて2倍、2倍、2倍…というようにないるので、差が同じなのではなく比が同じということになります

そのため等分というのは数学で言うと、等差数列ではなく、等比数列的に分割します。

12平均律では、この1オクターブを同じ比で12個に分割していきます。

つまり、1オクターブ上の音まで12回同じ数をかけ続けて2倍になるようにするということです。

12回かけて2になるという計算なので、数学的にいうと2の12乗根になります。

これを計算してみた結果は、1.059463094359295…という比になります。

12平均律ではどの音の周波数でも、この数字をかけると半音上の周波数になります。

12平均律での半音の間隔を100セントとしています。

セントは音程を測るための単位です。

特徴

1度(同じ音同士)の周波数比は1:1、8度(オクターブの音)の周波数比は、1:2となり簡単な整数で表せます。

しかし12平均律では、半音の比は1:1.0564…となり、1:2になるまでに整数になることはないので、1度と8度以外の音程を整数比で表すことができません。

そのため、1度と8度以外に純正な響きは得られず、どうしてもうなりが生じてしまいます

ですが平均律は、純正律だとあるところで生じてしまうような大きなずれがありません

それを平均して分散しているような形になります。

そのため完全な調和は得られなくても、複数の音の調和度は高くなります。

このことから、調による響きの差がないためどんな調でも演奏ができ、転調や移調が自由にできます

異名同音は実際に同じ音になります。

スポンサーリンク

楽器

12平均律は基本的に演奏中に音程の調整ができない楽器に用いられます。

具体的にはピアノなどの鍵盤楽器や、ギターのように指の位置で音の高さを決めるフレットのある弦楽器、木琴や鉄琴などの打楽器です。

そのほかでも、今では標準的に平均律が使われることが多くあります。

電子楽器もそうですが、現代の電子楽器では、音律を変更することができる機能をもつものもあります。

調律

調律では、波長(周波数)のずれによる「うわんうわんうわん」という”うなり”をなくすように調整することで音を定められます。

実際、ハーモニクス(倍音)ではこのように調整します。

ですが、前述したように平均律では1度と8度以外はどうして唸りが生じてしまうため、調律が難しいです。

実際の音律

金管楽器や、弦楽器の中でもフレットのないバイオリン、声楽などでは演奏中に音程を合わせることが多いです。

ギターや木管楽器、ピアノでさえも、抑え方やタッチの加減などによりわずかに音程を変えたりすることがあります。

このように、調律で音高を定めるものの、演奏の中で微調整されます

特に本番は奏者たちのテンションが高まってピッチがどんどん高くなっていく傾向があります。

やりすぎると鍵盤楽器などと大きくずれてしまうため注意が必要です。

まとめ

12平均律の特徴は、

  • オクターブを12個の音に同じ周波数比で分割している
  • 1度と8度以外に純正な響きが得られない
  • 転調が自由にできる

でした。

奥が深いところなので、「面白いな」と感じた方はぜひ知識を深めてみてください!

スポンサーリンク

タイトルとURLをコピーしました