こんにちは!
今回は、ピタゴラス音律という音律について詳しく解説していこうと思います。
- ピタゴラス音律とは
- 特徴と考え方
「音律って何?」という方は、以下の記事を読んでみてください。
それでは早速見ていきましょう。
ピタゴラス音律とは
まずはピタゴラス音律がどういうものか、解説していきます。
発見したのは数学者
ピタゴラス音律は、数学でも有名なピタゴラスという人が発見したものです。
ピタゴラスは古代ギリシアの人物で、『万物は数なり』や『ピタゴラス定理』などでも有名な数学者・哲学者です。
一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
ピタゴラスは実験により、弦の長さの比が弦の振動数の比で、それが単純な整数比であるときに2つの音が調和することを発見しました。
きっかけは鍛冶屋のハンマーの音だったそうです。
ピタゴラス音律は、単純な整数比である純正な響きの音程を積み重ねてできた音律です。
周波数比の考え方
ピタゴラス音律には、振動数比が1:2の完全8度(1オクターブ)、2:3の完全5度という純正な響きを持つ音程が用いられています。
どのようにつくられたかというところを見ていきましょう。
完全5度を積み重ねていきます。
積み重ねた音は、1オクターブ内に収まるようにオクターブ移動させながら音を決めていきます。
12回重ねると、なんと最初の音にたどり着きます。
音の名前は違うのに同じ音なので、これを異名同音といいます。
これが、1オクターブ内の音が12個である理由です。
特徴
純正な響きの得られるピタゴラス音律ですが、その特徴について詳しく見ていきましょう。
ピタゴラス・コンマ
ピタゴラス音律は、異名同音にたどり着いたときどの音から始めても、どうしても最初の音より少しだけ高くなってしまいます。
この周波数の差は、計算すると23.46セントです。
12平均律での半音の周波数の差が100セントなので、半音の約4分の1くらいの差が生まれてしまうことになります。
この差をピタゴラス・コンマといいます。
響きが濁らないためにそれぞれ別の音としてつくり鳴らし分けるとなると、音の数が多くなってピアノやオルガンなどの鍵盤楽器は鍵盤の数がもっと増えて大変なことになります。
そのためどこかにピタゴラスコンマのある音程を置くことになり、そこはどうしてもうなりが生じてしまいます。
純正な響きとそれ以外
前述した通り、ピタゴラス音律ではピタゴラス音律は完全5度の純正な響きを積み重ねてつくるため、完全5度と完全4度はとても綺麗に響きます。
しかし、長3度などは綺麗に響きません。
12回積み重ねる中で、長3度は4番目の音程です。
この周波数比は1:81で、単純な整数比ではありませんね。
ピタゴラス音律は初期のルネサンスまでの西洋音楽で用いられていましたが、ルネサンス音楽で3度や6度がよく使われるようになると使えなくなりました。
ピタゴラス音律からの発展
ピタゴラス音律では純正な響きをもつ音程が少なかったので、新しく発展させる必要が出てきました。
こうして、周波数を調整して純正な長3度をつくったのが純正律です。
また、純正律の全音が2種類できてしまうという問題を解消した中全音律もつくられていきました。
ですがどの音律にも長所と短所が存在するので、時代や音楽の発展とともに様々な音律がつくられています。
現代でも楽器や文化に合わせ、それを再現することもあります。
まとめ
いかがでしたか?
ピタゴラス音律の特徴をまとめると以下のようになります。
- ある場所でピタゴラスコンマが生まれ、うなりが生じる
- 完全5度や完全4度は純正な響きが得られる
- 長3度などでは純正な響きが得られない
今回は以上です。
参考になれば嬉しいです。