こんにちは!
今回は、純正律という音律について解説していこうと思います。
- 純正律とは
- 周波数比と特徴
「音律って何?」という方は、以下の記事を参考にしてみてください。
それでは早速見てきましょう。
純正律とは
純正律とは、周波数比が単純な整数比の音程でつくられた音律です。
単純な整数比でできているため、純正な響きの和音が得られるのが大きな特長です。
ピタゴラス音律では長3度が綺麗に響きませんでしたが、純正律ではそこから周波数を少し調整して純正な音程を増やしました。
音名 | 国際式表記 | C4との音程 | C4との周波数比 | 周波数(Hz) |
---|---|---|---|---|
ド | C4 | 完全1度 | 1:1 | 264 |
レ | D4 | 長2度 | 8:9 | 297 |
ミ | E4 | 長3度 | 4:5 | 330 |
ファ | F4 | 完全4度 | 3:4 | 352 |
ソ | G4 | 完全5度 | 2:3 | 396 |
ラ | A4 | 長6度 | 3:5 | 440 |
シ | B4 | 長7度 | 8:15 | 495 |
ド | C5 | 完全8度 | 1:2 | 528 |
定め方
完全5度の周波数比は2:3、そして長3度の周波数比を4:5とし、それらを組み合わせて音を決めていきます。
例えば、ハ長調の全音階を作るとします。
Cの音からはじめるとして、そこから完全5度と長3度を積み重ねていきます。
積み重ねた音は、1オクターブ内になるようにオクターブ移動させながら決定していきます。
Cから完全5度を積み重ねてG、さらにD、Aとなりますね。
そして、C・G・Dからそれぞれ今度は長3度を積み重ね、E・B・Fとなります。
これで、ハ長調の全音階の音が全て決定しました。
特徴
純正律にはどのような特徴があるのか、詳しく見ていきましょう。
音律にはさまざまな種類がありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
純正律の長所と短所としては、以下のようになります。
- 長所…調が一定の時、純正な響きが得られる
- 短所…転調ができない
順番に解説していきます。
純正な響きが得られる
前述しましたが、調が一定の場合、純正律ではうなりのない綺麗な響きが得られます。
例えばC・E・G(ドミソ)などの主要三和音は、周波数比が4:5:6となり、うなりが生じません。
シントニック・コンマ
純正律では、ピタゴラス音律における長3度の周波数比を調整していると前述しました。
このピタゴラス音律の長3度と純正律の長3度の差をシントニック・コンマと言います。
ピタゴラス音律での長3度の周波数比は64:81、純正律では4:5ですので、この差は計算すると約21.5セントとなります。
12平均律の半音が100セントだよ!
この差は小さいようで大きく、問題が生じることになります。
大全音と小全音
純正律には、全音が2種類存在します。
完全5度から完全4度を引いた大全音と、長3度から大全音を引いた小全音です。
大全音の周波数比は8:9、小全音の周波数比は9:10となります。
この差はシントニック・コンマ分になります。
このため音の組み合わせによって、純正でない響きとなってしまうのです。
例えばハ長調で調律した楽器で他の調で弾くと、調和度がとても低くなってしまいます。
転調が自由にできないというのが、純正律の大きな短所です。
楽器と調律
純正律を鍵盤楽器など音程を演奏中変えられない楽器に用いるのは現実的ではありません。
短所にもあった通り、転調・移調などができないためです。
純正律はフレットのないバイオリンや、トランペット、合唱などで用いられます。
これらの楽器では演奏中にも微調整しながらうなりのないように合わせられ、純正な響きのとても美しい和音となります。
それらの練習やチューニングとして、オーケストラや吹奏楽ではハーモニーディレクターという楽器が便利です。
電子キーボードですが、音律やピッチまで選べるので音を聴きながら効率的に練習できます。
まとめ
いかがでしたか?
純正律についてまとめます。
- 完全5度と純正な長3度の積み重ね
- 一定の調で純正な響きが得られる
- 転調ができない
今回は以上です。
参考になれば嬉しいです。