こんにちは、いなです。
前回までで、音程について種類や度数の数え方を解説しました。
今回は、音程の転回について見ていきたいと思います。
度数の数え方がまだわからないという方は、まずは以下の記事を読んでみてください。
それでは早速解説していきます。
- 転回音程について
- 転回音程の例
- 原音程と転回音程の関係
転回音程とは?
音程とは音と音との距離のことでしたね。
音程を構成する2つの音のうち、1つの音をオクターブ移動させて上下関係を入れ替えることを音程の転回といいます。
転回により新しくできた音程を転回音程といい、転回する前の音程は原音程といいます。
転回音程は1オクターブ以内(単音程)で考えます。
そのため、転回は2音あるうちの
- 低い方の音を1オクターブ上げる
- 高い方の音を1オクターブ下げる
このどちらかになります。
どちらでも転回音程は同じになります。
ここでは、低い方の音をオクターブ上げることで解説していきます。
例えば、ドからソの音程を転回すると、ドを1オクターブ上げてソからドの音程になります。
5度の音程が4度になりました。
こんな感じです。
ソを1オクターブ下げたとしても、音程の考え方は変わりませんね。
転回の例
度数のところでは単に数字だけでなく、完全、長短、増減などたくさんの種類がありましたね。
そういう場合の転回についても、もう少し詳しく見ていきましょう。
①全音階的音程の転回
まずはシャープやフラットのつかない幹音の音程で見ていきましょう。
例1:ドからレ
ドからレの音程は、2度です。
そして2度は長短系であり、ドからレの場合は全音なので長2度でしたね。
この音程を転回してみましょう。
ドを1オクターブ上げて転回音程ができます。
この音程は、低い方を基準にして考えてレからドを数えると7度。
7度も長短系であり、この場合は半音が2つ含まれている短7度でしたね。
長2度の転回音程は短7度となります。
例2:同じ高さのミ
ミとミは、同じ音同士なので1度です。
1度は完全系で、この場合は完全1度ですね。
これを転回してみます。
一方を1オクターブ上げて転回音程になり、この音程は8度です。
8度も完全系でしたね。
この場合は、半音が2つ含まれているため完全8度でしたね。
完全1度の転回音程は完全8度となります。
例3:ファからシ
ファからシは、4度です。
4度は完全系で、ファからシの場合は半音が含まれていない増4度でしたね。
これを転回し、ファを1オクターブ上げます。
そうすると転回音程の度数は5度になります。
5度も完全系で、シからファの場合は半音が2つ含まれている減5度でしたね。
増4度の転回音程は減5度となります。
②半音階的音程の転回
シャープやフラットがついた派生音により、上記より複雑になった場合についても見ていきましょう。
例1:ミからソ♭
ミからソ♭は、まずフラットを無視して3度。
3度は長短系で、ミからソの間には半音が1つ含まれるため短3度となり、さらにそこからソに♭がついて半音狭まっているため減3度でした。
これを転回してみましょう。
ミを1オクターブ上げて転回音程を作ります。
この音程を数えてみると、まずフラットを無視して6度。
6度は長短系で、ソからミの間には半音が1つだけ含まれているため長6度となり、低い方の音であるソに♭がついてさらに半音広がっているため、増6度でしたね。
減3度の転回音程は増6度となります。
例2:レ♭からシ#
レ♭からシ#の音程は、まず幹音間で考えてレからシで6度。
6度は長短系で、レからシの間は半音が1つだけ含まれているため長6度、そしてレに♭がついて半音広がり、そこからシに#がついてさらに半音広がっているため、重増6度です。
この音程を転回してみます。
レ♭を1オクターブ上げて転回音程をつくり、この音程について数えてみます。
まずシャープやフラットを無視して考えて、シからレは3度です。
3度は長短系で、シ・レ間は半音が1つ含まれているため短3度、そしてシに#がついて半音広がり、そこからレに♭がついてさらに半音広がっているため、重増3度となりますね。
重増6度の転回音程は重増3度になります。
原音程と転回音程の関係
前項の例で結果を見てみると、法則がわかってきますね。
音程を転回すると、1度は8度に、2度は7度に、3度は6度に、4度は5度になります。
このように、原音程と転回音程の数字は足すと9になるという関係があります。
また、完全音程は完全音程、長音程は短音程、増音程は減音程に、重減音程は重増音程になります。
原音程と転回音程の関係を表にまとめると次のようになります。
原音程 | ⇔ | 転回音程 |
---|---|---|
1度 | ⇔ | 8度 |
2度 | ⇔ | 7度 |
3度 | ⇔ | 6度 |
4度 | ⇔ | 5度 |
5度 | ⇔ | 4度 |
6度 | ⇔ | 3度 |
7度 | ⇔ | 2度 |
8度 | ⇔ | 1度 |
原音程 | ⇔ | 転回音程 |
---|---|---|
重減 | ⇔ | 重増 |
減 | ⇔ | 増 |
完全 | ⇔ | 完全 |
短 | ⇔ | 長 |
長 | ⇔ | 短 |
増 | ⇔ | 減 |
重増 | ⇔ | 重減 |
転回すると、小さかった音程は大きくなり、大きかった音程は小さくなります。
また、転回音程をもう一度転回すると、もとの原音程に戻ります。
上の法則がわかっていると、例えば増7度の転回音程は減2度というように、文字だけでもわかるようになります。
かんたんだね!
「理解できた!」という方は、ぜひ練習問題にチャレンジしてみてください。
転回の使い方
転回音程は知っておくと便利です。
上のルールがわかっていれば、広い音程が数えにくい時に転回音程の度数を考えることですぐに答えられます。
たとえば、ドからシを考える時、指折り数えるよりも、シをオクターブ下げて転回音程で考えてみると、転回音程が短2度だから、原音程は長7度だというようにわかります。
「作曲してみたい」というような方はこの関係性は覚えておくといろんなところで使えます。
まとめ
いかがでしたか?
転回音程についてまとめると、ポイントは以下の2つです。
- 原音程と転回音程の度数は足すと9になる
- 完⇔完 長⇔短 増⇔減 重増⇔重減
今回は以上です。
参考になれば嬉しいです。